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しかし、このGの生き方が、倫理学の対象として脚光を浴びるようになったことを知っている人となると、ほとんどいないに違いない。
Gには、養うべき家族がいた。
そして彼は、絵画へのやみがたい情熱も持っていた。
この二つの間で、葛藤が起こる。
絵画で稼げるお金はごくわずかで、妻と子供に満足に食べさせることもできなかった。
しかし、ついに絵画が勝利を収めた。
Gは、パリを離れてタヒチにいった。
彼はその魅惑の島で、地元民の暮らしを鮮やかな色彩で描き、素晴らしい絵をたくさん残した。
倫理学で論争の的になっている点は、絵画の道を追求するために家族を捨てるのが、はたして正しいかどうかということだ。
それをもっと抽象的な言葉で表現すると、倫理的義務はいつでも他の義務より優先されるべきか、ということになる。
Gが美術史上重要な画家であるということは、ここでは関係ない。
妻子をおいてタヒチへ出発した時点では、彼は自分の絵がのちに世界中で認められるということを知らなかったからだ。
自分の才能に自信を持っている画家はいくらでもいるが、その自信が歴史の同意を得ることはまれである。
だからここで問題なのは、倫理的な責任と、芸術への献身の、どちらを重視すべきかということだ。
私はここで、Gの選択の善悪を判断するつもりはない(もっとも、哲学者としてはこの先いつかはやらなければならないだろうが)。
しかし、彼の選択が私たち自身の成功の定義にも関連していることは、きちんと強調しておくべきだろう。
確かに、Gと同じくらいに自分の仕事に情熱を傾けている人はあまりいないだろうし、仕事を選べば家族を見捨てることになるという厳しい選択を迫られている人はさらに少ないだろう。
しかし、私たちの決めた目標が何であれ、そこにいたるまでの旅を楽しんだほうがよいことは確かだ。
なぜなら、人生とはすなわちその旅なのだから。
私たちは、ゴール地点でトロフィーを受け取る自分の姿を夢想するだけでなく、そこにいたる道を楽しむ自分の姿も想像する必要がある。
実際、あなたも今までの経験で気づいていることと思うが、ほしいものを「持っている」よりも、ほしいものを「手に入れる」ほうが、何倍も楽しく、満足感も大きい。
自立したキャリアにおける「成功」とは、ゴールだけでなく、その過程も大切にすることだ。
そして「失敗」とは、努力をやめてしまうことである。
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